流動資産
流動資産とは事業年度末から数えて一年以内に現金化されるものや、通常の営業サイクル(仕入から販売、代金回収までの期間)で現金化される資産です。
現金預金
預金関係については、預金種類別、銀行別に補助科目を設定しますが、試算表上で各銀行別の推移及び残高を確認したい場合は、各銀行口座別に勘定科目を作成します。
- 現金
- 手元にある紙幣と硬貨です。受取った小切手も含まれますが、入手後直ちに預金へ預けている場合は現金に含めなくてかまいません。
- 小口現金
- 現金の一部を小口経費用に使う場合、この勘定科目を用います。しかし、小規模な事業所でこの勘定科目を用いるのは、余程手元現金が多く区分が必要な場合や、出張所がある場合などです。
- 当座預金
- いわゆる未落小切手については銀行残高と不一致が生じます。また、当座貸越契約を結んでいる場合は、残高がマイナスとなりますので、短期借入金等の科目への振替が必要です。
- 普通預金
- 説明省略
- 定期預金
- 満期日の定めがある預金です。満期時の利息が元金に組み入れられる場合に、それが未処理になっていることがよくありますので注意が必要です。
- 定期積金
- 一定期間、毎月同額を積み立てる預金です。
売上債権
- 受取手形
- 売上代金を手形で回収して決済期日が未到来のものをいいます。裏書きや割引きをした場合は、この勘定科目の金額は減少します。なお、減少させずに割引手形、裏書手形という負債勘定科目を計上する方法もあります。この場合、期日が来るまで両勘定科目とも減少しません。
- 売掛金
- 売上代金の未入金分をいます。得意先毎に残高を区分し、管理してください。
- 貸倒引当金
- 受取手形と売掛金の回収不能部分を見積り、資産の部でマイナスします。
有価証券
- 有価証券
- 一時保有(短期的な売買目的等)の株式、社債、投資信託などをいいます。
棚卸資産
棚卸資産については年度末にのみ計上し、年度途中の月次決算では前期末金額をそのまま計上しつづけていることが通常です。また、勘定科目の分類が困難な場合があります。
- 商品
- 完成品を外部から仕入れたものです。主に、小売業と卸売業で用いる勘定科目です。
- 製品
- 自社製品の完成部分です。これは、製造原価の材料費、労務費、諸経費から振り替えられてきたものです。
- 半製品
- 自社製品で、未完成ながらも販売も可能なものです。これも製品同様に、製造原価の材料費、労務費、諸経費から振り替えられてきたものです。ただし、次の仕掛品との区分が困難な場合があります。
(例)パソコンメーカーが製造している部品
- 仕掛品
- 自社製品の未完成部分です。これも製品・半製品同様に、製造原価の材料費、労務費、諸経費から振り替えられてきたものです。
- 原材料
- 自社製造用の材料です。
- 貯蔵品
- 自社製造用の消耗品ですが、原材料との区分は困難な場合があります。
その他流動資産
- 前渡金
- 仕入先などに代金を先渡しした場合に発生します。なお、仕入代金の場合はこの勘定科目を用いずに、買掛金の減少として処理してもかまいません。この場合、買掛金勘定がマイナスとなるケースもありえます。
- 立替金
- 役員、従業員の個人的費用や、取引先が負担する費用を立替払いした場合に発生します。なお、立替分の入金があったときにはこの勘定科目を減少させます。
- 未収入金
- 売上債権以外の未入金をいいます。
(例)土地売却代金、株式売却代金
- 短期貸付金
- 取引先や役員、従業員に資金を貸し付けた場合に発生します。なお、回収が1年以上に及ぶ場合は長期貸付金として計上します。
- 未収収益
- 受取利息、家賃など時の経過に応じて発生する収益の未入金部分をいいます。実務では決算時のみ計上し、また未収入金との区分も厳密ではありません。
- 前払費用
- 既に支払った費用で、来期以降の部分をいいます。
(例)リース料や保険料の年払い
- 仮払金
- 既に支払ってはいるけれども、内容が未確定のものをいい、出張旅費や交際費の先渡しが典型例です。この勘定科目も内容が不透明なことが多く、明確な説明ができるようにしておいてください。 決算書作成時点では他の科目へ振替えるべきです。
- 仮払消費税等
- 消費税の仕訳処理を税抜処理している場合に、仕入や諸経費の支払に対して発生します。年度末には仮受消費税との差額を計算し、納付の場合は未払消費税、還付の場合は未収消費税とします。この処理の結果、この勘定科目は消滅します。また、税抜経理を行っている場合は消費税の中間納付は、この勘定科目を用います。
固定資産
有形固定資産
- 建物
- いわゆる建設物で、壁、屋根があり、事務所、工場、倉庫などに利用されるものをいいます。
- 附属設備
- 建物に固着し、建物の使用価値を高め、維持管理上必要なものをいいます。
(例)電気設備、給排水設備、空調設備、エレベーターなど
- 構築物
- 貯蔵用タンク、広告塔、駐車場の屋根、塀など、建物や建物付属設備以外の建設物をいいます。実務上、三者の区分が困難なこともありますが、耐用年数の決定に影響しますので区分は大変重要です。
- 機械装置
- 機械とは、剛性のある物体で、一定の相対運動をし、それ自体で仕事をするものをいいます。装置とは工場などの設備全体をいいますが、それを形成する補助用具も含みます。機械装置と工具器具備品の区分が困難な場合もあります。
- 車輌運搬具
- 乗用車、トラック、特殊自動車のことです。
- 工具器具備品
- 工具とは作業用や運搬用などの工具(レンチ、スパナ、ジャッキなど)のことをいい、器具備品とは家具、電気・ガス機器、事務・通信機器、容器、金庫などをいいます。
- 減価償却累計額
- 固定資産の減価償却を行った場合、直接その計算対象となった勘定科目を減額する方法と、間接的に減価償却累計額勘定を用いる場合があります。
- 土地
- 土地の購入原価をいいますが、購入に要した諸費用(登記費用、不動産取得税、立退き費用など)を含める場合もあります。
- 建設仮勘定
- 建設中の建物、構築物、機械装置に関する支出をいいます。完成後、それぞれの勘定科目に振り替えて減価償却します。
無形固定資産
法律上の独占的権利(特許権、借地権)、契約上の権利(電話加入権、水道施設利用権など)、有償で取得した営業権(のれん、販路、営業ノウハウなど)、ソフトウェアをいいます。
投資等
- 投資有価証券
- 株式、社債などを短期の売買目的ではなく、他社の支配、関係強化、長期的な資産形成を目的に購入した場合に用いる勘定科目です。
- 出資金
- 組合、信用金庫の出資金、会員権などをいいます。
- 差入保証金
- 営業取引、不動産の賃貸借の際に差し入れる保証金や敷金をいいます。
- 長期貸付金
- 返済期間が、1年を超える貸付を行う場合に用います。
- 長期前払費用
- 前払費用のうち一年を超える部分をいいます。銀行からの融資を受ける際に支払う信用保証料や、車両等の割賦購入の際に発生する割賦手数料はこの科目にて処理します。
- 保険積立金
- 保険積立金とは、生命保険や損害保険の保険料のうち、満期返戻金など貯蓄性がある部分の保険料を計上するための勘定科目です。
繰延資産
将来に効果が及ぶために繰り延べる費用で、数年に渡り償却をします。
- 創立費
- 会社設立にあたっての定款作成費用、登記費用などです。
- 開業費
- 会社設立後、営業開始までに要した費用のことで、調査費や広告宣伝費のことです。
流動負債
流動負債とは事業年度末から数えて一年以内に支払わなければならない、あるいは通常の営業サイクル(仕入から販売、代金回収までの期間)に支払わなければならない負債です。
仕入債務
- 支払手形
- 仕入代金として手形を振出した場合の未決済金額です。
- 買掛金
- 仕入代金の未払分をいいます。仕入先毎に残高を区分し、管理してください。
その他流動負債
- 短期借入金
- 銀行融資などの借入金のうち、一年以内に返済期日が来るものをいいます。
- 未払金
- 諸経費などの代金で、既に物の引渡しないしはサービス提供は受けているけれども、支払期日が到来していないものをいいます。
- 未払法人税等
- 法人税・住民税・事業税(利益に対して課税される税金)の未払い分です。基本的には、税額が確定しているけれども納期限が未到来の金額ですが、いわゆる滞納がある場合はこれも含まれます(納付期限が過ぎても当初計上額が残ったままとなります)。
- 未払消費税等
- 仮受消費税と仮払消費税の差額で、税務署に納付する金額です。税込経理を採用している場合は、確定した税額をこの勘定に計上するとともに同額を租税公課に計上します。
- 未払費用
- 時の経過に応じて発生する、利息、家賃、リース料などの未払い部分をいいますが、実務上未払金との区分を厳密には行えません。
- 預り金
- 給与等から天引きした、源泉所得税、住民税、社会保険料の従業員負担分の未納付部分です。天引き後、納付期日未到来のものは当然として、滞納がある場合は残高として残ります。
- 仮受金
- 入金は受けてはいるけれども、内容が不明あるいは未確定なものをいいます。できるだけ早期に他の勘定科目への振り替えが必要となります。
- 預り保証金
- 営業取引、不動産の賃貸借に際して受取る保証金や敷金をいいます。
- 前受金
- 販売していない商品代金を前受けした場合に発生します。販売後は売上高に振り替えます。なお、この勘定科目ではなく売掛金勘定を用いることもあります。その場合、売掛金勘定がマイナスとなる場合もあります。
- 前受収益
- 時の経過に応じて発生する、利息、家賃などの前受け部分をいいます。
- 割引手形
- 受取手形を割引いた場合に計上します。割引いた手形が決済されたときに、この勘定と受取手形勘定を減少させます。なお、割引きと同時に受取手形勘定を減少させる方法もあります。
- 裏書手形
- 受取手形を裏書きした場合に計上します。裏書きした手形が決済されたときに、この勘定と受取手形勘定を減少させます。なお、裏書きと同時に受取手形勘定を減少させる方法もあります。
- 仮受消費税等
- 消費税の仕訳処理を税抜処理している場合に、売上代金の受取りに対して発生します。年度末には仮払消費税との差額を計算し、納付の場合は未払消費税、還付の場合は未収消費税とします。この処理の結果、この勘定科目は消滅します。
固定負債
流動負債以外の負債をいいます。
固定負債
- 長期借入金
- 銀行融資などの借入金のうち、一年以降に返済期日が来るものをいいます。
- 長期未払金
- 未払金のうち、一年以降に返済期日が来るものをいいます。
(例)クレジット契約の未払金
- 役員借入金
- 役員からの借入をいいます。
- リース債務
- 所有権移転外ファイナンスリース契約の残債をいいます。