◆生計一親族の判定(養育費の負担)
国税庁ホームページの質疑応答事例には、子がある夫妻が離婚した後の「扶養控除(所得税)」を、
生活が別となった元夫・元妻のどちらに適用できるかという事例が紹介されています。
元妻が子を引き取り、元夫が養育費を負担しているケースでは、その養育費の支払いが
①扶養義務の履行として、
②「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われるものであるときは、
その養育費を負担した期間については、子は元夫の「生計を一にしているもの」として、
元夫は扶養控除の対象とすることができます。
ただし、養育費と慰謝料・財産分与の金額が明らかに区分できない場合には、
この例には当てはまりません。
また、子が元夫の控除対象扶養親族に該当するとともに、元妻の控除対象扶養親族にも該当することになる場合には、
扶養控除はいずれか一方のみに適用されることになります。
◆「扶養控除」の取り合いになった事例
このようなケースでは、別れた元夫婦が子をどちらの控除対象扶養親族とするかという話し合いを持たずに、
両者が各々の控除扶養親族として申告を行ってしまうこともあるようです。
争いになった事例として、平成19年の国税不服審判所の裁決例があります。
別れた元夫婦が各自の勤務先に扶養控除等申告書を提出し、長女を各々の控除扶養親族として
平成18年分の年末調整を受けていたというものです。
このケースでは元妻が扶養控除等申告書を職場に平成17年12月に提出し、
元夫が平成18年1月に提出していることから、長女は、先に扶養控除等申告書を提出した
元妻の控除対象扶養親族と判断されました。
◆「決められない場合」の判定方法は2つ
所得税法施行令には、2以上の居住者が同一人を自己の扶養親族として
申告書等に記載した場合の規定があります。
① 既に片方の居住者が申告書等の記載により扶養親族としている場合→その居住者の扶養親族
② ①によっても、いずれの扶養親族とするか定められない場合→合計所得金額の大きい方の居住者の扶養親族
上記の裁決では、①の段階で判定ができたため、元夫の所得の方が大きいという事実は考慮されませんでした。
◆国民年金第3号被保険者が資格喪失する時
会社員や公務員の夫に扶養される専業主婦は年金の保険料はかかりませんが
受給資格が取れる国民年金の第3号被保険者となっています。
しかしパート収入の増加や夫が退職して自営業になった時等、3号の資格を失う時があります。
このような時は1号被保険者に変更手続きをして自ら保険料を納めておかないと未納扱いになってしまします。
扶養の範囲とされる年収が130万円未満の範囲であっても健保組合によっては月収で判断するところもあります。
130万は前年の収入か、これから先の見込額かの取り扱いも組合によってまちまちです。
規約を確認してみましょう。
◆手続き漏れになりやすいケース
第3号被保険者に取得時の手続きは複写式の用紙で健康保険の被扶養者として夫の勤め先で
3号の届出も済んでいます。
しかし資格喪失時は自ら変更の届出をしておく必要があるので漏れが生じやすいのです。
夫が退職して自営業になったり、定年退職した時に漏れが多いので注意が必要です。
夫が定年退職し再雇用になった時はどうでしょうか?
60歳定年退職し、年金受給できる年齢となった時に年金減額を避けるため短時間勤務者となり、
厚生年金に加入しない場合や、正社員と同じ勤務時間であっても65歳になった時等いずれも
60歳未満の妻は手続きをして第1号被保険者となり、保険料を納める必要があります。
◆資格期間の回復
日本年金機構の推計では第3号被保険者の資格を失ったのに、
届け出ずに未納期間が生じてしまい、そのままになっている人は47万人位いるといいます。
昨年7月から該当者の救済が始まっており、順次通知が届けられています。
手続きは「特定期間該当者届」を出しておけば、未納期間は年金額には反映しないが
受給資格期間(原則25年必要)に算入されます。
また、救済策として2015年4月から3年間に限り過去最大10年分のうち希望する期間分を追納できます。
未納で減ることになるはずだった年金額を増やし、回復する機会となりますが、
追納は強制ではありません。
他の資産も考えた上で行いましょう
◆固都税は「相続人代表者指定届出」を提出
亡くなられた方が有していた不動産の所有権は、遺産分割協議が成立するまでの間は定まりません。
法務局の登記簿上は亡くなられた方の氏名のままで、相続の権利がある方全員が所有者という状態(共有)になります。
その期間の不動産に対する固定資産税・都市計画税の納税については、市役所に「相続人代表者指定届出」を
提出することで、市役所との対応窓口となる相続人の代表者を定めることとなります。
遺産分割協議が成立し、相続登記が済めば、新たな所有者の方に納付書が送付されます。
◆未分割遺産の不動産所得(所得税)
未分割の不動産が賃貸物件の場合には、遺産分割協議が調うまでの間も、
賃貸収益が生ずることとなります。
この間に生ずる賃貸収益については、その物件が共有状態であることから、
共同相続人の法定相続分に応じて申告することになります。
なお、遺産分割協議が調い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に
影響を及ぼすものではありませんので、分割協議で確定した所有状況に基づく更正の請求等を行うことはできません。
◆消費税の「基準期間における課税売上高」
相続開始年の消費税についても、この法定相続分に応じたテナント収入・駐車場収入が課税売上高となります。
なお、遺産分割協議が調った後に、新たな所有者の方が、この共有期間を「基準期間における課税売上高」として
納税義務を判定する場合でも、この法定相続分に応じた「基準期間における課税売上高」で判定を行います。
◆相続税の申告期限までに分割できない場合
この未分割の状態が、相続税の申告期限(亡くなられた日から10カ月以内)まで続いている場合でも、
税務署は待ってはくれません。
この場合、各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い申告することになりますが、
共有状態のままでは、「小規模宅地等の課税価格の特例」の適用を受けることができません。
ただし、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができる措置が設けられていますので、
「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出することになります。
政府は、少額投資非課税制度(NISA)の〝子ども版〟を平成28年に創設する方針です。
投資にあまりなじみのない親世代の投資促進を狙うものです。
いわゆる「子ども版NISA」は、日本証券業協会などが創設を求めていたもので、
今後は金融庁が年末の税制改正大綱に向けて与党と調整します。
投資上限は現行の大人版と同じ100万円。
祖父母や両親が孫や子どもの名義で投資すれば、子どもが受け取る配当や将来の売却益を
非課税にする制度です。
利用対象者は0歳~18歳となる見通し。
NISA口座への譲渡以外に贈与があり、合わせて年間110万円を超えた場合は
贈与税がかかることになりそうです。
子ども版NISAは引き出し時の制限をかけるのが特徴です。
災害や両親の不慮の事故などを除いては、18歳までは原則として非課税では
引き出せないようにする方針となっています。
金融庁の発表では、今年3月末時点で30歳以下の投資割合は全体の10.9%と、
若年層の利用が低い実態が明らかになっています。
政府は子ども版NISA創設で若年層の需要拡大につなげたい意向です。
加えて、1600兆円の個人金融資産の大半を持つ60歳以上の祖父母にも利用を促します。
また、通常のNISAも拡大策が検討されています。
非課税枠を200万円~300万円に引き上げる案が浮上しています。
現在5年間の非課税期間も段階的に延長していく予定です。
教育資金一括贈与が非課税になる期間が延長されそうです。
孫の将来にわたる教育資金として、まとまったお金を非課税で贈与できる制度が始まって
1年が経過しましたが、平成27年末としていた期限を政府は2~3年延長する方針です。
また、非課税対象のお金の使い道を子育てなど教育以外にも使えるようにすることも検討するとのことです。
直系尊属から30歳未満の孫などへ教育目的の資金を一括して贈与する場合、
受贈者一人当たり最大1500万円(学校等以外は500万円)まで非課税で贈与できるようになりました。
孫などが30歳になった時点で終了し、使い切れなかったお金には贈与税が課税される仕組み。
直系尊属からの贈与であるので、ひ孫や玄孫(やしゃご)のほか、親から子への贈与も対象です。
信託協会によると、昨年4月から今年3月までの教育資金贈与信託の契約数は6万7073件、
信託財産設定額合計は4476億円に達しています。
2年間で見込んでいた5万4千件をすでに上回る好調ぶりです。
政府は高齢者が持つ金融資産を若者世代に分散する必要があると判断し、
2~3年の延長を判断した模様。
年末の税制改正大綱に盛り込みたい意向です。
また、非課税となるお金の使い道を広げることも検討しています。
現行では授業料や習い事の月謝代に限られていますが、子育ての費用も対象にする案が浮上しているといいます。
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