◆問題社員を減給したい
従業員が会社で不祥事を起こし、その人に減給の制裁を課す場合、
どの程度の範囲で減給額を決めるのでしょうか。
労働基準法第91条は「就業規則で、減給の制裁を定める場合においては、その減給は、
1日の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」
と規定しています。
「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは1回の精算事案に対する減給額は
平均賃金の1日分の半額以内でなければならないと言う意味です。
又、「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは
1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額がその月の賃金支払期における賃金の
10分の1以内でなければならないと言う意味です。
すなわち1賃金支払期(通常は1ヶ月)のうちに従業員が何回も減給制裁に当たる行為を行い、
減給額が多額にわたる場合でも、その月の賃金からの減給額はその月の賃金総額の
10分の1の範囲内に留めなくてはならないと言う事になります。
◆違法行為が1つなら1日分の半額まで
労働者の制裁に当たる行為が1つである限り非違行為(非行、違法行為)が重大なものであっても
減給額はあくまでも平均賃金の1日の半額以下に留めておく必要があります。
平均賃金とはその算定事由が発生した直前の賃金締切日以前3ヶ月間の賃金の総額を総日数で除した額を言います。
◆減額処分が軽いと感じる時は
労働者の非違行為が重大なものでも平均賃金の1日分の半額しか減給できないのは
納得しがたいと言う考え方もあります。
労働基準法は従業員を働かせながら受け取る権利のある賃金からの減給処分は
第91条の範囲に留めましょうと言う趣旨であり、その減給額では少なすぎると言うことであれば
他の処分を併せて行うことになります。
就業規則に例えば出勤停止期間等が規定されていればそちらも併せて行うことも考えられます。
減給の制裁は他の処分までも禁じている訳ではありません。
所得税及び法人税において、賃貸ビル、事業用ビルの外壁塗装や室内の壁紙の張り替え等
(以下、外壁塗装等)の工事費は、通常、修繕費として必要経費又は損金の額に算入されます。
◆事業供用後の外壁塗装等の処理
これら外壁塗装等は、通常、当該資産の価値の増加又は使用可能期間を延長させるものではなく、
減価償却資産であればこそ生ずる、よごれ、さび、しみ、損傷等の現象を予防し、
現状を維持することで、予定された機能を発揮させるための欠くことのできない、
いわゆる機能の維持管理のための費用といえます。
したがって、所得金額の計算上、金額の多寡にかかわらず、修繕費として処理されます。
◆事業供用時の外壁塗装等の処理
最近、中古ビル(賃貸ビル、事業用ビル)の市場が活況を呈しています。
築15年程度を経過した中古ビルを購入し、事業の用に供するため外壁や室内をきれいにするために塗装、
壁紙の張り替えをすることはよくあります。
この場合の外壁塗装等は、無条件に修繕費として処理されるものなのかどうか気になるところです。
所得税、法人税では、購入した減価償却資産の取得価額は、次に掲げる①と②の金額の合計額と規定しています。
①当該資産の購入代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、
その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
②当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の価額
この規定からすると、中古ビルを取得し、それを事業の用に供するために支出した外壁塗装等の工事費は、
修繕費ではなく、取得価額を構成すると考えられます。
◆悩ましい判断
現に事業の用に供されている賃貸ビルの取得にあたっての外壁塗装等の工事費については、微妙な問題を招来させます。
このような場面に遭遇したときは、当該外壁塗装等の支出が取得価額を構成するか、
それとも修繕費として処理されるかで課税所得に大きな影響を及ぼしますので、外壁塗装等の実施時期については、
慎重な判断が求められます。
◆配偶者の受給する雇用保険
配偶者が退職により雇用保険金を受給している場合、この金銭給付は配偶者の所得としては
雇用保険法で非課税とされているので、配偶者控除の判定においても、
合計所得金額に含める必要はありません。
◆配偶者の受給する出産育児一時金
配偶者の出産に際し、健康保険から支給される出産育児一時金は、
健康保険法で非課税とされていますので、配偶者本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、
合計所得金額に含める必要はありませんが、医療費控除の額の計算では、
医療費を補填する保険金等に該当することになるので、医療費から差し引かなければなりません。
◆配偶者の受給する出産手当金
出産に際して受ける産前産後休暇の給与補填金としての出産手当金も同じく健康保険法で
非課税とされていますので、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、所得とはしませんが、
医療費の補填を目的とするものではないので医療費から差し引く金額ともされません。
◆配偶者の受給する出産助成金その1
市町村等の自治体から、住民の妊娠及び出産に対し、出産助成金が支給されることがあります。
妊娠及び出産に係る費用の一部を支援することを目的とするものは、
本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、非課税所得となりますが、
医療費控除の額の計算では、医療費から差し引くものに該当します。
◆配偶者の受給する出産助成金その2
しかし、その出産助成金が妊娠及び出生の祝儀目的のものは、
医療費控除の額の計算上医療費から差し引く金額とはされません。
ただし、これを非課税とする法令がないことから、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定においては、非課税所得にはなりません。
所得の分類としては、一時性の所得であるとともに公法人からの収入でもあるので、一時所得に該当します。
◆配偶者の受給する休業給付金・児童手当
育児のために休業給付金の支給を受けている場合、この給付金は雇用保険法で非課税とされています。
また、子育てのために児童手当・児童扶養手当の支給を受けている場合、
この給付金は児童手当法・児童扶養手当法で非課税とされています。
従って、これらの給付金は、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定上、合計所得金額に含める必要がありません。
◆遺族年金の基本
一般的に女性は男性より長生きしますので専業主婦で万一夫が亡くなった時に
夫の遺族年金で生活ができるのか気になるところです。
夫の死後1人で生きて行くにはどの位の準備が必要になるでしょうか。
国民年金の「遺族基礎年金」に、厚生年金に加入していた人は「遺族厚生年金」が上乗せされます。
死亡した被保険者の報酬比例部分年金額×3/4+加算で計算されます
(遺族基礎年金については18歳の年度末までの子がいる場合に支給されます)。
◆老齢厚生年金受給者の夫が亡くなった時
老齢厚生年金受給中の夫が亡くなった時、妻が65歳以上の時は夫の老齢厚生年金の一部の
遺族厚生年金を受け取れます。
受け取り方は3つの方法がありいずれも妻本人の老齢基礎年金は全額支給されます。
厚生年金の加入をしたことのある妻は最も高い金額が支給されます。
①自分の老齢厚生年金のみを受け取る。
②夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する部分を受け取る。
③妻の老齢厚生年金の2分の1、夫の老齢厚生年金の2分の1を合計した相当額を受け取る。
②と③は妻が厚生年金に加入していた場合で妻の老齢厚生年金を支給した後に
夫の老齢厚生年金から差額の遺族厚生年金が受け取れます。
一般的な専業主婦は②のタイプが多く、妻も働き保険料が高かった時や、
厚年加入期間が長かった時は①や③となることもあります。
また、遺族年金は非課税です。
◆生活費はいくら用意しておくとよいのか
現在老齢厚生年金を受けている65歳以上の妻は1カ月の公的年金収入は12万円程度の人が多いといいます。
支出の面から見てみると60歳以上の女性単身者の1カ月の支出は15万円位(総務省調べ)
年金より支出が3万円多いことになり、例えば夫の死後20年生きるとすれば700万円以上不足します。
住まいが持ち家か賃貸かでも変わるでしょうし、介護や病気に備えてとなると1千万円以上は必要でしょう。
しかし子供が独立前にそこまで考える人は少ないかもしれませんね。
信託協会のアンケート調査によると、教育資金一括贈与の非課税制度を利用した人の8割が
その資金を「大学・短期大学・高等専門学校の学費」に充てたいと考えているとのことですが、
贈与した時点で「子ども」がまだ小学生以下であるケースは半数近くだったそうです。
贈与した人の「子ども」が通っている学校で最も多かったのは小学校。
大学・短期大学・高等専門学校、高等学校、中学校、幼稚園・保育園と続きます。
小学校と幼稚園・保育園、「まだ通っていない」を合わせると約5割。
子どもが小学生以下のうちに多くの人が大学の学費を譲り渡していることが垣間見えます。
教育資金一括贈与の非課税制度は、直系尊属から30歳未満の孫などへ
教育目的の資金をまとめて贈与する場合、受贈者1人につき1500万円まで
贈与税を非課税にするというもの。
「直系尊属からの贈与」なので、ひ孫や玄孫(やしゃご)のほか、親から子への贈与も対象となります。
信託協会では、平成18年度の税制改正からこの制度の創設をたびたび要望してきました。
高齢者が持つ「タンス預金」などの金融資産を〝教育に役立てる〟という動機付けで
若年層に移動させ、〝経済活性化に役立てる〟といった現政権の狙いもあり、
制度は25年度にスタート。
27年末までの贈与に適用される時限措置ですが、信託協会は適用期間の延長を提言しています。
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