◆会社の休眠とは?
営業を現在はしていないが、いつか営業を再開するかもしれない。
そんな会社を「休眠」させる事ができます。
「異動届出書」に休眠である旨を書き、税務署・都道府県税事務所・市役所に提出する事で、
休眠会社にする事ができます。
◆休眠のメリット
会社の休眠は、会社の解散に比べて、清算手続をしなくて済みますので、圧倒的に手続きが簡単です。
休眠中も税務申告を行う必要がありますが、当然休眠中ですから、
損益ゼロという場合もあるでしょう。
実際には休眠中は税務申告をしないケースも多々あるようです。
しかし、税務申告をしないと、青色申告が取り消されたり、様々な許認可や、
復活後の取引に影響が出ることもありますので、いずれ復活させたいと考えるなら、
休眠中も申告をした方が良いでしょう。
また、休眠中の法人でも、地方税の均等割は支払わなければならないのですが、
まったく事業を行っていない(銀行の預金もない場合など)と認められれば、均等割を免除されるケースもあります。
◆休眠から12年でみなし解散
株式会社であって、最後の登記の日から12年を経過すると、
「事業を継続している場合は、公告及び通知の日から二カ月以内に事業を廃止していない旨の届出を
本店所在地所轄の法務局に提出すること」を要請されます。
この届出をしないと、法務大臣が解散したとみなす事ができます。
解散登記がなされて放置しておくと、3年後に清算結了登記がなされて、会社自体が無くなってしまいます。
登記されている本店所在地に「廃止していない旨の届出の提出」の要請が来るので、
登記や税務申告を放置して本店移転をしていると、公告・通知がなされた事もわからないといった場合があります。
◆休眠から目覚めさせる時
休眠状態の会社を復活させる際は、休眠時と同じように税務署・都道府県税事務所・市役所に届出を提出します。
休眠中、無申告であった場合は青色申告が取り消されていますので、
事業年度開始時に青色申告の申請を忘れないようにしましょう。
◆高齢者層から若年世代への早期移転
近年の資産税は「高齢者層から若年世代への財産の早期移転」を促す改正が相次いでいます。
特に平成27年からは、「直系尊属」から「直系卑属」への贈与について大胆な軽減措置がいくつも施行されます。
◆特例税率~直系尊属から成人者への贈与
まず、平成27年1月からの贈与から既に適用されている「特例税率」が挙げられます。
平成27年分以後の贈与税率は、「一般税率」と直系尊属から20歳以上の者への贈与に対する
「特例税率」の2つに区分されました。
この「特例税率」は「一般税率」に比して累進度が緩和された軽減税率です。
◆住宅取得等資金の非課税制度の延長・拡充
また、平成27年改正では「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」措置が
平成31年6月までに延長されるとともに非課税金額も拡充されています。
今回の改正の特徴は、「住宅取得資金非課税限度額」(消費税8%契約・中古住宅の個人間売買)と
「特別住宅取得資金非課税限度額」(消費税10%契約)の2つの非課税枠が設けられたことです。
これは消費税率改訂時の住宅需要へのインパクトを緩和するために消費税率10%が適用される
契約がされる時点での贈与について別枠を設けたものです。
このような非課税限度額が「8%契約」「10%契約」と別枠で設けられていますので、
8%契約で購入した家屋を、後に10%契約でリフォームした場合等はこの非課税枠を「ダブル」で適用することができます。
◆結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税
また、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度の
「結婚・子育て」版が設けられました(平成27年4月以後の贈与から適用)。
こちらは、直系尊属が子・孫等の結婚・子育て資金を金融機関に信託・預入等をした金額のうち
1,000万円までは非課税とする制度です。
◆複数の非課税制度を適用した場合
これらの「直系尊属」からの贈与の特例を最大限適用した場合、教育資金贈与非課税(1,500万円)+
結婚・出産資金贈与非課税(1,000万円)+住宅取得資金非課税(H27優良住宅・1,500万円)+
特別住宅取得資金非課税(H28.10~H29.9・優良住宅3,000万円)=7,000万円が非課税となります。
確定申告も終わり、ほっとしている方も多いと思いますが、これから個人事業を始めようとされる方へ、
開業にあたっての留意点です。
個人事業は法人設立と違って簡単に始められそうですが、個人事業者の場合であっても、
税務署へは様々な届出が必要となります。
開業届や青色申告の承認申請、専従者のいる場合には青色事業専従者に関する届出など、
片手ではおさまらないほどの書類の提出が必要です。
◆原則的な効力発生は
新規に開業した場合、多くの書類は開業後1~2ヶ月の間に提出すればよいことになっています。
例えば青色申告の承認申請は開業後2ヶ月以内に提出すれば、開業の年から青色申告者として
確定申告をすることになります。
つまり開業後1~2ヶ月の間にこれらの書類を提出すれば、開業時点から各規定が適用されることとなります。
◆例外的な規定
その1 源泉徴収の納期の特例
従業員に給与を支払うような場合には所得税を源泉徴収し、その翌月10日までに国に納付することとなっていますが、
給与の支払を受ける者が常時10人未満である事業所等については、申請書を提出した場合には
特例としてその納付を1月(7~12月分)と7月(1~6月分)の年2回とすることができます
(これを源泉徴収の納期の特例と言います)。
例えば4月1日に開業して開業と同時にその申請書を提出したような場合には
4月分から6月分の給与に係る源泉税をまとめて7月に納付すればよいと考えがちです。
ですがこの申請書は提出月の翌月末日に承認がされるものとなっておりますから
4月1日に提出した場合、特例の効力発生は5月31日となり、1回目の納付日である5月10日は特例の適用が受けられず、
4月分の源泉税を納付しなくてはなりません。
その2 消費税課税事業者選択届
この届出は、開業した年の12月31日までに出せばよいこととなっております。
しかし、開業時に多くの届出を済ませてしまいますから、開業から12月31日までにかなりの間隔があると、
ついつい忘れてしまう場合があります。ご留意ください。
2015年度税制改正において、地方創生を推進するための施策の一つに、
ふるさと納税の促進策が盛り込まれております。
個人住民税の特例控除額の上限の引き上げを行うとともに、
確定申告が不要な給与所得者等がふるさと納税を簡素な手続きで行える
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設し、これとあわせて、地方公共団体に対し、
返礼品等の送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請しております。
ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく応援したい自治体など、
どの都道府県・市区町村に対する寄附でも対象に、寄附金のうち2,000円を超える部分について、
一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除されます。
具体的な控除額の計算は、所得税「所得控除額(寄附金-2,000円)×所得税率」が軽減され、
個人住民税の基本部分として「(寄附金-2,000円)×10%」が税額控除されます。
さらに、控除できなかった寄附金額を、個人住民税の特例分として
「(寄附金-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)」との計算により全額控除します。
この特例控除額の控除限度額は現行1割ですが、2016年度分以後の個人住民税から2割に引き上げられます。
また、ふるさと納税による控除を受けるためには、寄附をした翌年に確定申告を行うことが必要でしたが、
2015年4月1日以後は、確定申告が不要なサラリーマン等の寄附については、
5つの自治体までならば申告不要とする「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されます。
ただし、6ヵ所以上に寄附する場合には、従来どおり、すべての寄附の受領書を添えて確定申告する必要があります。
なお、地方公共団体に対しては、ふるさと納税について、寄附金が経済的利益の無償の供与であることや、
寄附金に通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用される制度であることを踏まえ、
豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進に寄与するため、
都道府県・市区町村がふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう要請しております。
◆親の家屋に子が増築した場合
親が所有する家屋を子の資金で増築するということがよくあります。
この場合、増築後の登記状況等により贈与税が課税される恐れがあります。
例えば、父が所有する木造平屋の家屋(時価1,000万円)に、子が家屋の時価と同額の1,000万円をかけて
2階部分を増築したとしましょう。
◆民法における『付合』の考え方
この場合、民法における『付合』の考え方を理解する必要があります。
『付合』とは、別個のものがくっついて一つになるイメージになります。
不動産の場合、『不動産の所有者は不動産に従として付合した物の所有権を取得する』(民242)とされています。
この例では、父所有の家屋(主)に対して、増築部分が『付合』した物(従)とされれば、
増築部分も父が所有権を有することになります。
一般には増築部分が①事実上、分離復旧させることが不可能で、②2階部分だけ独立して取引できる
ような状態でなければ、『付合』したものと見られます
(なお、増築部分が区分所有権の対象となるものについては、『付合』は生じません)。
◆『持分変更』で高率の贈与税課税を避ける
今回の増築部分が区分建物として独立性がない場合、一般的には『付合』が成立し、
増築部分の金銭負担者(子)と取得財産の名義(父)が異なることになります。
そのため、子から父に対して1,000万円の贈与があったものして、
父に高率の贈与税が課されます。
もっとも、負担分=持分とする形(本事例では1/2)で登記することで、
利益の移行がなかったものとして、贈与税課税を回避することができます。
国税庁HPの質疑応答事例では、①旧家屋の持分2分の1を父から子に時価で譲渡し
(本事例では1,000万円×1/2=500万円)、②その譲渡代金は、子が支出した増築費用のうち
父の負担すべき部分の金額 (本事例では1,000万円×1/2=500万円)と相殺することで、
贈与税の課税関係は生じないとする例を示しています。
このように高率の贈与税課税を避けることはできますが、①の持分異動分については、
父の譲渡所得を認識しなければなりません
(この譲渡は親子間譲渡のため、居住用財産譲渡の特例等は適用できません)。
同様のケースならば、登記及び譲渡の税負担を事前にシミュレーションしておくことをお勧め致します。
Copyright © 2013 Takada. All Rights Reserved.