領収書に掛かる印紙税の非課税範囲が4月1日から拡充され、
受け取り金額が5万円未満のものについては非課税となります。
3月末までは「金銭又は有価証券の受取書」に記載された受け取り金額が
3万円未満の場合に非課税とされていました。
これが平成25年度税制改正で、4月1日以降に作成された領収書等については、
5万円未満ならば印紙税が不要となります。
「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭や有価証券の受領者がその事実を証明するために作成し、
相手方に交付する証拠文書のこと。
領収書やレシート、受取書などの名目のものだけではなく、
金銭等の受領事実を証明するために「代済」「相済」「了」などと記入した請求書・納品書や、
受領事実を証明するために作成する「お買い上げ票」なども含まれます。
なお、非課税枠の拡大を知らなかったなどの理由で印紙税の納付が必要ない文書に誤って
収入印紙を貼った場合には、過誤納となった文書の原本を税務署に提示し、
当局の確認を受けることで、印紙税は還付されます。
また、4月1日以降に作成される「不動産譲渡契約書」と「建設工事請負契約書」について、
印紙税の軽減措置が現行から拡充されます。
現行では1千万円超の契約書に軽減措置が適用されていますが、
4月1日から30年3月31日までに作成される契約書に関しては1千万円以下でも対象になります
(「不動産譲渡契約書」は10万円超、「建設工事請負契約書」は100万円超)。
1億円以下までは本則税率に対して50%軽減、1億円超では20~40%の軽減です。
◆人と富は首都圏に集中
昨年12月国税庁公表の平成24年分相続税の申告状況によると、
死亡者数(2012年1月1日~12月31日)1,256,359人(被相続人)で、毎年すこしずつ増えています。
うち、相続税の申告数は52,394件(4.17%)、相続税収は12,514億円でした。
東京国税局だけのデータをみると、死亡者数243,951人(全国比19.4%)
申告数17,193件(全国比32.8%)、相続税収は5,591億円(全国比44.7%)です。
東京国税局管内の死亡者は全国の約2割、相続税申告数の約3分の1、相続税額の半分を占めています。
◆全国と地域にバラつきがない
経年推移をみると、平成6年の申告相続財産の全国総額158,845億円(東京国税局57,829億円)、
平成24年の申告相続財産の全国総額117,031億円(東京国税局44,553億円)で、
その下落率は全国平均と各地域とで類似しています。
また、平成6年での申告相続財産に占める不動産の割合(全国75.99%、東京国税局76.19%)、
現預金・有価証券の割合(全国17.75%、東京国税局18.27%)も地域によるバラつきはありません。
また、平成24年においても、申告相続財産に占める不動産の割合(全国51.21%、東京国税局54.55%)、
現預金・有価証券の割合(全国37.70%、東京国税局35.61%)も地域によるバラつきはありません。
現預金・有価証券の平成6年から平成24年に至る増加割合(全国156.46%、東京国税局150.18%)も地域によるバラつきはありません。
◆相続財産構成は大きく変わった
すでに見た、平成6年と平成24年の推移の数字から、申告相続財産の総額は減少
(全国74%、東京国税局77%)している中で、現預金・有価証券の割合は1.5倍になり、
不動産の割合は5割に比重を減らしています。
申告相続財産総額の中での家屋の価額の割合は毎年一貫して5%程度で不変なので、
不動産の割合の比重の低下は土地の割合の比重の低下を意味しています。
ここのところ地価水準は横ばいから回復基調に転じつつあるようですが、
相続申告事績からは確認できていません。
逆に、現預金・有価証券は平成に入ってから最高の構成比となっています。
◆お墓は遺産にあらず
相続では財産の承継のみならず、お墓を誰が守るかでも揉めることがあります。
これは、どのように決まるのでしょうか。
民法は、祭祀財産を遺産として遺産分割の対象とするのではなく、
別の規定に基づき祭祀主催者が承継すると規定しております。
祭祀財産の種類は、系譜、祭具及び墳墓であり、お墓は「墳墓」に該当します。
なお、遺骨は、これ自体は祭祀財産ではありませんが、判例は、慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属するとしています。
◆祭祀財産とは何か
祭祀財産は、遺産分割の対象外である上に、差押禁止物であり、かつ、
相続税のかからない非課税財産です。
これらはわが国の祖先崇拝という習俗等を考慮したものですが、その趣旨を逸脱して、
専ら、脱法的な、あるいは、鑑賞の目的のために、祖先祭祀という趣旨を逸脱し、
または、その機能が既に失われた場合には、通常の財産・遺産として扱うべきです。
◆誰が承継することになるのか
祭祀財産の所有者(被相続人)が死亡すると、祭祀主催者がこれを承継します。
祭祀主催者は、以下の通りに決まります。
①被相続人の指定(生前行為でも遺言でもよく、口頭・書面、明示・黙示のいかんを問わない)があればその指定に従う。
②①の指定がない場合は、慣習に従う。
③①の指定も②の慣習でも明らかでない場合、①の指定や②の慣習の有無やその内容等に争いがあるような場合は、
家庭裁判所が指定(審判)する。
③の指定の基準は、判例により、「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係、
承継候補者と祭具等との間の場所的関係、祭具等の取得の目的や管理等の経緯、
承継候補者の祭祀主宰の意思や能力、その他の一切の事情
(例えば利害関係人全員の生活状況及び意見等)を総合して判断すべきである」とされています。
2014年度税制改正大綱において、「譲渡損失の他の所得との損益通算及び
雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、
主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える」
ことが盛り込まれました。これは、2014年4月1日から適用されます。
これにより、ゴルフ会員権等の売却損と他の所得との損益通算が打ち切らます。
ゴルフ会員権以外にもリゾート会員権などが対象となる模様ですが、
改正前は、ゴルフ会員権等を売却したときの所得は譲渡所得として
事業所得や給与所得などと合わせて総合課税の対象となり、
譲渡損失が出た場合には、事業所得や給与所得など他の所得との損益通算ができました。
過去には、損益通算による還付金額を試算して含み損のある
ゴルフ会員権を買い取るスキームが横行したこともありました。
所得税法では、他の所得との損益通算及び雑損控除ができないものとして、
次のものを具体的に列挙しております。
①競走馬その他射こう的行為の手段となる動産
②通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で
主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有するものその他主として
趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産
③生活の用に供する動産で(施行令)第25条の規定に該当しないもの
上記③は、譲渡所得について非課税とされる30万円以下の宝石、
書画、骨董などを含む生活用動産ですが、今回の改正によって、②の範囲に
「主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産」が加えられ、
具体的には、ゴルフ会員権やリゾート会員権などの動産をいいます。
適用となる2014年4月以降は、上記の条文に規定する競走馬や別荘などを売却した場合と同様に、
分離課税に移行され、他の所得との損益通算や雑損控除ができなくなりますので、
該当されます方は、ご注意ください。
なお、法人が所有するゴルフ会員権等は、これまでと変わらず、
売却損を損金計上することができますので、あわせてご確認ください。
◆60歳以後に働くと年金はカットされる?
60歳の定年を迎えてもすぐに年金が満額受給出来ない時代に入り、
継続雇用を希望される方が多いのですが、働き方によっては年金の減額や支給停止になる事があります。
この仕組みを「在職老齢年金」と言います。しかしたとえ年金がカットされても
働いて給料と年金の両方を受けとる方が年金だけの収入より合計収入は多くなります。
◆定年後も厚生年金に加入すると
60歳以後厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受給すると年金基本月額と給料、
過去1年分の12分の1の賞与額に応じて、金額の一部又は全額が支給停止となる事があります。
但し、在職老齢年金は厚生年金に加入した時に調整が行われるので加入していない時は
年金の減額や支給停止はありません。
これも1つの選択肢でしょう。
◆厚生年金が適用されない働き方
厚生年金に加入しない働き方は次のようなものがあります。
1.1ヶ月の勤務日数、又は1日の労働時間を常用の労働者の4分の3未満に短くする
2.厚生年金に加入していない勤務先で働く(例えば従業員5人未満の個人事業所等)
3.自営で経営し、法人化していない
◆在職老齢年金計算の仕組み
在職老齢年金は①65歳未満の方、②65歳以上の方の2つの計算方法があります。
①の場合、年金基本月額と標準報酬月額と過去1年の標準賞与額の12分の1の3つの合計額が
28万円を超えなければ支給停止されません。
28万円を超えた時は超えた額の2分の1が支給停止となります。
(年金月額が28万円以下、標準報酬月額と賞与の12分の1の合計が46万円以下の場合)
②の場合は老齢基礎年金と経過的加算額は給料額にかかわらず全額支給されます。
又老齢厚生年金の12分の1と標準報酬月額と賞与の12分の1の合計が46万円以下の場合は全額支給されます。
46万円を超えた場合は超えた額の2分の1が停止されます。
年金の支給額は賞与の額に影響されます。
70歳以降働いていれば同様の扱いです。
◆60歳以後厚生年金に加入する方が得か損か
ケースにより判断は分かれますが、大切な事はまだまだバリバリ働きたいのか、
ゆっくりと働いきたいか、又は退職したいのかをしっかり考えてみる事が前提でしょう。
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