◆話題商品の転売問題
iPhone6が発売されるや否や、一定の顧客による大量購入が問題視されニュースを賑わせています。
その少し前には、今子どもたちの間でゲームやアニメが大人気になっている
「妖怪ウォッチ」の特典付映画前売券やグッズが、大人たちに買い占められ、
子どもたちとその保護者から悲しい声が寄せられていると話題になりました。
こうした買い占めの動機のほとんどは、インターネットオークション等での転売目的とされています。
副業感覚で気軽に手を出される方も多いようですが、このような転売行為に問題はないのでしょうか?
◆商品の転売と古物営業法
中古品の買い取り販売等、古物営業法に規定される古物を、
業として売買または交換する業者を「古物商」と言い、この言葉で多くの方々がリサイクルショップや
金券ショップを連想されることと思います。
しかし、この法律に規定される「古物」には、一般的な認識よりかなり広範囲な意味があり、
いわゆる「新古品」についても「古物」であるとされます。
つまり、販売目的で一度市場に流通した商品はすでに「古物」に含まれるのです。
この規定は元々、盗品の売買を防止するために設けられたものではありますが、
この「古物」の定義に当てはめれば、今回のようなiPhone6や妖怪ウォッチの新古品転売も
厳密に言えば古物商営業であり、公安委員会から許可を受けなければならない営業行為になります。
◆都道府県迷惑防止条例違反の可能性も
また、違反行為となり得るのは古物営業法の規定だけではありません。
不特定多数の人に転売目的でチケットを大量購入し、転売することは、
ダフ屋行為として各都道府県の迷惑防止条例違反になります。
転売だけでなく、転売目的で購入することそのものもダフ屋行為とみなされます。
以上のように、転売目的での購入はユーザー同士のマナー違反であることはもちろん、
法律や条例においても重大な違反行為です。
インターネットが普及し、個人間での売買は非常に容易なものになりましたが、
ルールを守った姿勢と行動を心がけたいものです。
生まれ故郷や応援する自治体に寄付をすることで、自分の住む自治体で所得税や
個人住民税の税額控除を受けられる「ふるさと納税制度」の「お礼」合戦が過熱しています。
この制度は納税者が思い入れのある自治体に寄付の形で貢献でき、その結果、
地方間の税収格差が是正できるとしてスタートしました。
寄付をしてくれた人に特産品など「お礼」を贈る自治体が多いことから、納税者の間で認知度が高まっています。
こうした状況下で京都・宮津市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上寄付した人に対して、
日本三景の一つである天橋立を臨む住宅分譲地を無償譲渡する制度を設けました。
しかし、総務省から「土地の譲渡は『特別の利益』に当たり、寄付者が税控除を受けられない可能性がある」
と指摘を受けたため、その制度の中止を9月下旬に発表しました。
市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上の寄付をした人に750万円相当の住宅分譲地を
「お礼」としてプレゼントするサービスを始めようとしていたのですが、
所得税法では「寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの」については
寄付金としての税控除を受けられないと定められていて、「土地」は高額での換金が可能であることから
特典の範囲を逸脱するかもしれないとの指摘を受けました。
一定額以上の寄付に応じてその土地の特産品を贈ることにしている自治体は多く、
その種類は肉や米などの食材からイベントチケットや温泉旅館の優待券まで多岐にわたります。
利用者が増えるにつれて特典も高額化の傾向にあります。
300万円以上の寄付を対象にブランド牛1頭分の牛肉をプレゼントする自治体も登場しました。
これによって「持つ地方」と「持たざる地方」の新たな税収格差が生まれる可能性も否定できません。
特典について総務省に名指しで指摘を受けたのは今回の宮津市が初めてですが、
自治体による「お礼」合戦の過熱化を懸念する声は各所から挙がっています。
経済産業省が9月12日に公表した消費税の転嫁状況に関す調査結果によると、
調査時点(8月15日~26日)で、事業者間取り引きに関して増税分全ての転嫁はできていない
事業者が約2割でした。
調査には9644社が回答を寄せました。
事業者間取り引き(BtoB)では、「全て転嫁できている」と回答したのは83.3%の事業者。
前月調査の結果と比較して0.1ポイントとわずかではあるものの悪化しました。
増税から5ヶ月弱経った段階で、2割近くの事業者が増税分の全ては転嫁できていないことが分かります。
「一部を転嫁できている」9.8%、「全く転嫁できていない」3.8%などでした。
全て転嫁できた理由は、「以前より消費税の転嫁への理解が定着しているため」が圧倒的に多く、
「本体価格と消費税額を分けることで交渉しやすくなったため」が続きます。
反対に、転嫁できない理由としては、「競争が激しく価格引き上げで他社に取引を奪われるおそれがあるため」
「取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がなかったため」
「取引先との力関係で立場が弱かったため」が続きました。
下請け事業者の苦悩がうかがえます。
一方、消費者向け取り引き(BtoC)では、「全て転嫁できている」のは73.8%。
「一部を転嫁できている」15.7%、「全く転嫁できていない」4.7%などでした。
全て転嫁できた理由は、「消費者の消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため」
「本体価格と消費税額を分けることで値上げへの反発が和らいだため」などが挙げられています。
転嫁できない理由では、「景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固いため」
「競争が激しく価格引き上げで他社商品に乗り換えられてしまうおそれがあるため」が他を圧倒する回答率でした。
◆問題社員を減給したい
従業員が会社で不祥事を起こし、その人に減給の制裁を課す場合、
どの程度の範囲で減給額を決めるのでしょうか。
労働基準法第91条は「就業規則で、減給の制裁を定める場合においては、その減給は、
1日の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」
と規定しています。
「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは1回の精算事案に対する減給額は
平均賃金の1日分の半額以内でなければならないと言う意味です。
又、「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは
1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額がその月の賃金支払期における賃金の
10分の1以内でなければならないと言う意味です。
すなわち1賃金支払期(通常は1ヶ月)のうちに従業員が何回も減給制裁に当たる行為を行い、
減給額が多額にわたる場合でも、その月の賃金からの減給額はその月の賃金総額の
10分の1の範囲内に留めなくてはならないと言う事になります。
◆違法行為が1つなら1日分の半額まで
労働者の制裁に当たる行為が1つである限り非違行為(非行、違法行為)が重大なものであっても
減給額はあくまでも平均賃金の1日の半額以下に留めておく必要があります。
平均賃金とはその算定事由が発生した直前の賃金締切日以前3ヶ月間の賃金の総額を総日数で除した額を言います。
◆減額処分が軽いと感じる時は
労働者の非違行為が重大なものでも平均賃金の1日分の半額しか減給できないのは
納得しがたいと言う考え方もあります。
労働基準法は従業員を働かせながら受け取る権利のある賃金からの減給処分は
第91条の範囲に留めましょうと言う趣旨であり、その減給額では少なすぎると言うことであれば
他の処分を併せて行うことになります。
就業規則に例えば出勤停止期間等が規定されていればそちらも併せて行うことも考えられます。
減給の制裁は他の処分までも禁じている訳ではありません。
所得税及び法人税において、賃貸ビル、事業用ビルの外壁塗装や室内の壁紙の張り替え等
(以下、外壁塗装等)の工事費は、通常、修繕費として必要経費又は損金の額に算入されます。
◆事業供用後の外壁塗装等の処理
これら外壁塗装等は、通常、当該資産の価値の増加又は使用可能期間を延長させるものではなく、
減価償却資産であればこそ生ずる、よごれ、さび、しみ、損傷等の現象を予防し、
現状を維持することで、予定された機能を発揮させるための欠くことのできない、
いわゆる機能の維持管理のための費用といえます。
したがって、所得金額の計算上、金額の多寡にかかわらず、修繕費として処理されます。
◆事業供用時の外壁塗装等の処理
最近、中古ビル(賃貸ビル、事業用ビル)の市場が活況を呈しています。
築15年程度を経過した中古ビルを購入し、事業の用に供するため外壁や室内をきれいにするために塗装、
壁紙の張り替えをすることはよくあります。
この場合の外壁塗装等は、無条件に修繕費として処理されるものなのかどうか気になるところです。
所得税、法人税では、購入した減価償却資産の取得価額は、次に掲げる①と②の金額の合計額と規定しています。
①当該資産の購入代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、
その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
②当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の価額
この規定からすると、中古ビルを取得し、それを事業の用に供するために支出した外壁塗装等の工事費は、
修繕費ではなく、取得価額を構成すると考えられます。
◆悩ましい判断
現に事業の用に供されている賃貸ビルの取得にあたっての外壁塗装等の工事費については、微妙な問題を招来させます。
このような場面に遭遇したときは、当該外壁塗装等の支出が取得価額を構成するか、
それとも修繕費として処理されるかで課税所得に大きな影響を及ぼしますので、外壁塗装等の実施時期については、
慎重な判断が求められます。
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