生まれ故郷や応援する自治体に寄付をすることで、自分の住む自治体で所得税や
個人住民税の税額控除を受けられる「ふるさと納税制度」の「お礼」合戦が過熱しています。
この制度は納税者が思い入れのある自治体に寄付の形で貢献でき、その結果、
地方間の税収格差が是正できるとしてスタートしました。
寄付をしてくれた人に特産品など「お礼」を贈る自治体が多いことから、納税者の間で認知度が高まっています。
こうした状況下で京都・宮津市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上寄付した人に対して、
日本三景の一つである天橋立を臨む住宅分譲地を無償譲渡する制度を設けました。
しかし、総務省から「土地の譲渡は『特別の利益』に当たり、寄付者が税控除を受けられない可能性がある」
と指摘を受けたため、その制度の中止を9月下旬に発表しました。
市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上の寄付をした人に750万円相当の住宅分譲地を
「お礼」としてプレゼントするサービスを始めようとしていたのですが、
所得税法では「寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの」については
寄付金としての税控除を受けられないと定められていて、「土地」は高額での換金が可能であることから
特典の範囲を逸脱するかもしれないとの指摘を受けました。
一定額以上の寄付に応じてその土地の特産品を贈ることにしている自治体は多く、
その種類は肉や米などの食材からイベントチケットや温泉旅館の優待券まで多岐にわたります。
利用者が増えるにつれて特典も高額化の傾向にあります。
300万円以上の寄付を対象にブランド牛1頭分の牛肉をプレゼントする自治体も登場しました。
これによって「持つ地方」と「持たざる地方」の新たな税収格差が生まれる可能性も否定できません。
特典について総務省に名指しで指摘を受けたのは今回の宮津市が初めてですが、
自治体による「お礼」合戦の過熱化を懸念する声は各所から挙がっています。
経済産業省が9月12日に公表した消費税の転嫁状況に関す調査結果によると、
調査時点(8月15日~26日)で、事業者間取り引きに関して増税分全ての転嫁はできていない
事業者が約2割でした。
調査には9644社が回答を寄せました。
事業者間取り引き(BtoB)では、「全て転嫁できている」と回答したのは83.3%の事業者。
前月調査の結果と比較して0.1ポイントとわずかではあるものの悪化しました。
増税から5ヶ月弱経った段階で、2割近くの事業者が増税分の全ては転嫁できていないことが分かります。
「一部を転嫁できている」9.8%、「全く転嫁できていない」3.8%などでした。
全て転嫁できた理由は、「以前より消費税の転嫁への理解が定着しているため」が圧倒的に多く、
「本体価格と消費税額を分けることで交渉しやすくなったため」が続きます。
反対に、転嫁できない理由としては、「競争が激しく価格引き上げで他社に取引を奪われるおそれがあるため」
「取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がなかったため」
「取引先との力関係で立場が弱かったため」が続きました。
下請け事業者の苦悩がうかがえます。
一方、消費者向け取り引き(BtoC)では、「全て転嫁できている」のは73.8%。
「一部を転嫁できている」15.7%、「全く転嫁できていない」4.7%などでした。
全て転嫁できた理由は、「消費者の消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため」
「本体価格と消費税額を分けることで値上げへの反発が和らいだため」などが挙げられています。
転嫁できない理由では、「景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固いため」
「競争が激しく価格引き上げで他社商品に乗り換えられてしまうおそれがあるため」が他を圧倒する回答率でした。
◆問題社員を減給したい
従業員が会社で不祥事を起こし、その人に減給の制裁を課す場合、
どの程度の範囲で減給額を決めるのでしょうか。
労働基準法第91条は「就業規則で、減給の制裁を定める場合においては、その減給は、
1日の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」
と規定しています。
「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは1回の精算事案に対する減給額は
平均賃金の1日分の半額以内でなければならないと言う意味です。
又、「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは
1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額がその月の賃金支払期における賃金の
10分の1以内でなければならないと言う意味です。
すなわち1賃金支払期(通常は1ヶ月)のうちに従業員が何回も減給制裁に当たる行為を行い、
減給額が多額にわたる場合でも、その月の賃金からの減給額はその月の賃金総額の
10分の1の範囲内に留めなくてはならないと言う事になります。
◆違法行為が1つなら1日分の半額まで
労働者の制裁に当たる行為が1つである限り非違行為(非行、違法行為)が重大なものであっても
減給額はあくまでも平均賃金の1日の半額以下に留めておく必要があります。
平均賃金とはその算定事由が発生した直前の賃金締切日以前3ヶ月間の賃金の総額を総日数で除した額を言います。
◆減額処分が軽いと感じる時は
労働者の非違行為が重大なものでも平均賃金の1日分の半額しか減給できないのは
納得しがたいと言う考え方もあります。
労働基準法は従業員を働かせながら受け取る権利のある賃金からの減給処分は
第91条の範囲に留めましょうと言う趣旨であり、その減給額では少なすぎると言うことであれば
他の処分を併せて行うことになります。
就業規則に例えば出勤停止期間等が規定されていればそちらも併せて行うことも考えられます。
減給の制裁は他の処分までも禁じている訳ではありません。
所得税及び法人税において、賃貸ビル、事業用ビルの外壁塗装や室内の壁紙の張り替え等
(以下、外壁塗装等)の工事費は、通常、修繕費として必要経費又は損金の額に算入されます。
◆事業供用後の外壁塗装等の処理
これら外壁塗装等は、通常、当該資産の価値の増加又は使用可能期間を延長させるものではなく、
減価償却資産であればこそ生ずる、よごれ、さび、しみ、損傷等の現象を予防し、
現状を維持することで、予定された機能を発揮させるための欠くことのできない、
いわゆる機能の維持管理のための費用といえます。
したがって、所得金額の計算上、金額の多寡にかかわらず、修繕費として処理されます。
◆事業供用時の外壁塗装等の処理
最近、中古ビル(賃貸ビル、事業用ビル)の市場が活況を呈しています。
築15年程度を経過した中古ビルを購入し、事業の用に供するため外壁や室内をきれいにするために塗装、
壁紙の張り替えをすることはよくあります。
この場合の外壁塗装等は、無条件に修繕費として処理されるものなのかどうか気になるところです。
所得税、法人税では、購入した減価償却資産の取得価額は、次に掲げる①と②の金額の合計額と規定しています。
①当該資産の購入代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、
その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
②当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の価額
この規定からすると、中古ビルを取得し、それを事業の用に供するために支出した外壁塗装等の工事費は、
修繕費ではなく、取得価額を構成すると考えられます。
◆悩ましい判断
現に事業の用に供されている賃貸ビルの取得にあたっての外壁塗装等の工事費については、微妙な問題を招来させます。
このような場面に遭遇したときは、当該外壁塗装等の支出が取得価額を構成するか、
それとも修繕費として処理されるかで課税所得に大きな影響を及ぼしますので、外壁塗装等の実施時期については、
慎重な判断が求められます。
◆配偶者の受給する雇用保険
配偶者が退職により雇用保険金を受給している場合、この金銭給付は配偶者の所得としては
雇用保険法で非課税とされているので、配偶者控除の判定においても、
合計所得金額に含める必要はありません。
◆配偶者の受給する出産育児一時金
配偶者の出産に際し、健康保険から支給される出産育児一時金は、
健康保険法で非課税とされていますので、配偶者本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、
合計所得金額に含める必要はありませんが、医療費控除の額の計算では、
医療費を補填する保険金等に該当することになるので、医療費から差し引かなければなりません。
◆配偶者の受給する出産手当金
出産に際して受ける産前産後休暇の給与補填金としての出産手当金も同じく健康保険法で
非課税とされていますので、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、所得とはしませんが、
医療費の補填を目的とするものではないので医療費から差し引く金額ともされません。
◆配偶者の受給する出産助成金その1
市町村等の自治体から、住民の妊娠及び出産に対し、出産助成金が支給されることがあります。
妊娠及び出産に係る費用の一部を支援することを目的とするものは、
本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定などでは、非課税所得となりますが、
医療費控除の額の計算では、医療費から差し引くものに該当します。
◆配偶者の受給する出産助成金その2
しかし、その出産助成金が妊娠及び出生の祝儀目的のものは、
医療費控除の額の計算上医療費から差し引く金額とはされません。
ただし、これを非課税とする法令がないことから、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定においては、非課税所得にはなりません。
所得の分類としては、一時性の所得であるとともに公法人からの収入でもあるので、一時所得に該当します。
◆配偶者の受給する休業給付金・児童手当
育児のために休業給付金の支給を受けている場合、この給付金は雇用保険法で非課税とされています。
また、子育てのために児童手当・児童扶養手当の支給を受けている場合、
この給付金は児童手当法・児童扶養手当法で非課税とされています。
従って、これらの給付金は、本人の所得計算及び控除対象配偶者の判定上、合計所得金額に含める必要がありません。
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