◆社会保険 労働保険 給与計算 労基法等の届け出や事務作業
総務・人事管理者には年間を通して行わなければならない届け出や事務があります。
手続きだけでなく保険料率の改定や税率の改定、申請期限なども考えて適正な事務処理を行う為には
予定表等で管理しておくとよいでしょう。
◆社会保険、給与担当者の年間スケジュール
( )内は期限 役所休日の場合は翌日期限
1月 ・労働保険料第3期納付 (1/31)
・平成27年分扶養控除等(異動)申告書、給与支払い報告書を市区町村役場へ提出 (1/31)
・源泉徴収票、報酬等支払調書を税務署へ提出 (1/31)
(平成27年1月末は土曜日の為2/2期限)
2月 ・新年度の計画を立案(給与改定等)
3月 ・健康、介護保険料率改定(料率は各都道府県、健保組合で異なる)
4月 ・健康、介護保険料率改定額徴収
6月 ・夏季賞与を支給する場合は準備
・住民税、特別徴収新年度分開始
7月 ・健康保険・厚生年金保険月額算定基礎届を年金事務所又は健保組合に提出 (7/10)
・労働保険料・概算確定保険料申告書を労働局に提出納付 (7/10)
・高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書を職安に提出 (7/15)
9月 ・厚生年金保険料率変更
10月 ・労働保険料第2期納付 (10/31)
・算定基礎届厚年保険料変更額徴収
11月 ・年末調整事務準備
扶養控除申告書、保険料控除、配偶者特別控除申告書を回収
・冬季賞与を支給する場合は準備
12月 ・年末調整事務を行い各人に源泉徴収票を渡す
その他 ・社会保険月額変更届 固定給変動後4ヶ月目に該当した場合提出
・賞与を支給した時、支払届を提出
・入社退社に伴う社保取得喪失手続
・社会保険料毎月末納付
・給与の源泉所得税毎月10日納付
・時間外労働協定届 原則年1回労働基準監督署に提出
◆本来の相続財産とみなし相続財産
死亡した者に係る給与等で未支給のものは本来の相続財産として相続税が課され、
被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として相続税が課されます。
なお、相続により取得するものについては所得税を課さないと法律は規定し、
相続税の課されるものについては、所得税の課税をしない、と二重課税の回避の趣旨が通達で明示されています。
また、別の通達では、相続税の課されない死亡した者に係る給与等、
公的年金等及び退職手当等については、一時所得として所得税を課すとしています。
◆相続不課税で一時所得となるもの
被相続人の死亡後3年を超えて支給額が確定した退職手当金等は、
みなし相続財産の規定外になるので、相続税課税対象外になるとともに、
その支給を受けるものの直接の所得となり、一時所得に分類されて、課税されます。
また、年金を受給していた者が死亡し、その死亡時点で未支給となっていた1~2ヶ月分の年金が、
請求によって配偶者等の指定した口座に振り込まれた場合、これも、受給した配偶者等の一時所得となります。
この未支給年金請求権については、遺族が自己の固有の権利として請求するものであることが、
国民年金法・厚生年金法に明記されており、かつ、相続財産とみなすとの規定がないので、相続税の課税対象にはなりません。
◆歯科医師会の死亡共済金も
昨年、平成25年12月12日に、歯科医師会共済制度に基づく死亡共済金は相続財産ではなく、
遺族の一時所得に該当するとの判決がありました。
この共済金の受給権は、死亡した会員が指定していた者
(指定した者がいない場合は法定相続人)にあり、被相続人の財産としての本来の相続財産ではありません。
また、みなし相続財産にも該当しません。
ちなみに、この共済掛金の性質は、中途返戻金のないいわゆる掛け捨てであり、
火災や重度の障害に対しても共済金が支払われることになっており、
掛金の内、死亡共済金の原資として積み立てられる直接の個別対応関係がないので、
一時所得の収入金額から控除する額はゼロとされています。
年末調整の時期となりました。
年末調整とは、給与の支払を受ける人の一人一人について、
毎月(日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、
その年の給与総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、
その過不足額を精算する手続きです。
◆昨年と比べて変わった点
平成26年分については、大きな改正点はありませんでしたが、
昨年から創設された復興特別所得税の計算がありますのでその留意が必要です。
そのため、年末調整において年税額を計算する際にも、復興特別所得税を含めた年税額
[年調年税額=年調所得税額×102.1%(100円未満切り捨て)]を算出する必要があります。
以下、誤りやすい事項について3例ほど検討したいと思います。
◆遺族年金の受給と合計所得金額の判定
扶養親族に該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額には、
所得税法やその他の法令の規定によって非課税とされる所得は含まれないことになっています。
したがって、非課税所得である遺族年金を含めないところで扶養親族を判定することに注意して下さい。
◆給与の支払日が年の中途で変更された場合
これまで前月21日から当月20日までの勤務分に係る給与が当月末支給から翌月5日に変更になった場合、
11月21日から12月20日までの給与は翌年1月5日に支払われることになります。
この1月5日に支払われる12月分の給与は、本年の給与に係る年末調整の対象に
含めなければならないかどうかですが、結論は、計算対象には含めない、です。
その理由は、年末調整は、その年中に支払うべきことが確定した給与が対象で、
確定した給与とは、契約又は慣習により支給日が定められている給与についてはその支給日、
支給日が定められていない給与についてはその支給を受けた日、と解されていることにあります。
◆親族等が契約者となっている保険契約等
妻や子が契約者となっている生命保険契約等であっても、
その妻や子に所得がなく給与の支払を受ける夫がその保険料を負担している場合には、
その保険料又は掛金は夫の生命保険料控除の対象になります。
但し、保険金等の受取人が給与の支払を受ける人又はその配偶者その他の親族でなければなりません。
相続税の増税に備えた対策の一環として、金融緩和の継続と相まって、
借入金による中古賃貸不動産の建替えも盛んのようです。
これら賃貸に供されている建物の建替えに伴う「取壊し等」により生じた損失、
いわゆる資産損失については、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。
取壊し等には、除却、滅失等も含まれます。
◆資産損失の金額の計算
必要経費に算入される資産損失の金額は、その資産の原価ベースによる価額、
いわゆる簿価を基礎として計算することとされており、建物については、
損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして、その固定資産の取得に要した金額及び設備費
並びに改良費の額の合計額からその資産の償却費の額の累計額を控除した金額です。
◆貸付規模と資産損失の必要経費
不動産所得の起因となる建物の取壊し等による資産損失が全額必要経費に算入されるかどうかは、
取壊し時の不動産の貸付が事業的規模か、それ以外(業務的規模)か、どうかによって異なってきます。
事業的規模の場合には、その資産損失の全額を必要経費に算入することができ、
不動産所得が赤字の場合は他の所得との損益通算、さらに、青色申告であれば純損失の繰越控除の適用があります。
一方、業務的規模の場合には、その年分の不動産所得(その資産損失を控除する前)の金額が限度になり、
不動産所得が赤字であれば、その部分の金額は切り捨てられることになります。
なお、事業的規模かどうかは、
①アパート等については、独立した室数10以上、
②独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であれば、反証がない限り事業的規模とされ、
また、事業税が課税されていれば事業的規模として取り扱われています。
◆取壊し費用と必要経費
建物の取壊しには、当然、取壊しのための諸費用がかかります。
この取壊し費用も取壊しによって生じる損失、除却損と同様、
不動産の貸付規模によって必要経費に算入される金額の範囲が異なるかどうかです。
資産損失は、あくまで資産の取壊し、除却、滅失による資産そのものの損失、
原則、未償却残高相当額であることから、取壊し費用はその範疇には入りません。
したがって、不動産の貸付の規模にかかわらず、業務供用部分については、全額必要経費に算入されます。
◆H27年以後の贈与の相続時精算課税の改正
平成26年も終盤にさし掛かり、来年(平成27年)から贈与税の税率改正があることを
お聞き及びの方の中には、親族間の資産移転を今年にするか、来年にするかお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
今回のコラムでは、来年(平成27年)以降の贈与から適用される相続時精算課税制度の改正点について確認していきます。
◆いままでの相続時精算課税制度
相続時精算課税の適用対象者は、超過累進税率が適用される暦年課税方式の贈与税にかえて、
一律20%の税率と特別控除2,500万円がある相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
この制度の適用を受けることができる受贈者・贈与者の要件は次のとおりです。
(1)受贈者の要件
贈与者の推定相続人(直系卑属に限る)のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者であること
(2)贈与者の要件
贈与をした年の1月1日において65歳以上である者であること
また、相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は、贈与を受けた財産に係る
贈与税の申告期限内に「相続時精算課税選択届出書」を納税地の所轄税務署長まで提出しなければなりません。
◆H27年以後の贈与の精算課税制度
この受贈者・贈与者の要件が平成27年1月1日以後の贈与から、次のとおり適用範囲が拡充されることになりました。
(1)受贈者の要件
贈与者の孫は、改正前は子の代襲相続人として贈与者の推定相続人になったケースでのみが
精算課税の適用対象でしたが、改正後は、その年の1月1日において20歳以上である「孫」であれば、
精算課税の適用を受けることができるようになりました。
(2)贈与者の要件
改正前の「65歳」の年齢要件が「60歳」に引き下げられました。
この改正により、平成27年からは60歳を迎えたばかりの祖父母が、
20歳以上の子・孫の両者に相続時精算課税を適用することができることとなります。
具体的には、平成27年以後であれば、昭和30年1月2日以前に生また祖父母が、
平成7年1月2日以前に生まれ孫に贈与するケースでも、この制度の適用を受けることができます。
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